朝日新聞にこんな記事があった。
『世田谷に空き家5万戸の衝撃
2割以上が市場に流通せず』
私は不動産業界の人間なので
べつに驚きはなかったが、
我が国屈指の住宅街の世田谷で
5万戸も空き家があるって…
諸君はどう思うだろうか。
ちなみに人口約92万人の世田谷区の
世帯数は約49万世帯という。
世田谷区HPより
そのうちの5万戸が空き家って、
つまり10戸に1戸が空き家ということだ。
なんと10%
ちなみに東京都全体の空き家は81万戸。
1.空き家は放置すると行政処分!
各地方自治体が長い間
空き家問題に苦しんだ挙句、
最近になっての話だが、
かなり強硬な施策を取り始めている。
それが空き家対策特別措置法だ。
2015年に施行されている。
この法律では、
倒壊の危険や周辺環境の悪化につながる
可能性のある空き家を「特定空き家」とし、
さらに、
・特定空家に対して罰金や行政代執行を
行うことが可能
・行政代執行で空き家が解体などされた場合、
所有者は費用を負担しなければならない
ということになった。
おわかりだろうか。
空き家を管理せず放置すると、
税制の優遇がなくなりばかりではなく、
(それどころか固定資産税が6倍に!)
行政が取り壊し、その撤去費用を
請求されるというのだ。
家屋の取り壊し撤去費用は
規模にもよるが数百万円はかかる。
もちろんある日突然、〇〇日
までに支払えと言ってくる。
行政のすることだから
裁判にしても勝ち目はない。
2.なぜ空き家は増えるのか
対処法を考える前に、
空き家はなぜ増えるのかを
知らねばならない。
①少子高齢化と核家族化
1960年代までの日本は、
大きな家屋に大家族が暮らしていた。
これが高度経済成長時代以降、
地方の人が都会に出て、
家庭を持つようになったが、
土地が高いために小家族になった。
いわゆる「核家族化」だ。
そしてその親世代が今では高齢化し、
老人ホームで暮らすケースが増えた。
②マンションに住みたがる若者 とそれを狙い撃ちするデベロッパー
都会で家を買う場合、
若者層はマンションを選ぶ。
郊外なら一戸建てもありえるが、
都心部ならばマンションだろう。
そういうニーズを狙って
デベロッパーはマンションを売りまくる。
その背後で空き家中古住宅が激増している
事実には見て見ぬふりをする。
③親世代への遠慮
親が老人ホームに入って
空き家になってしまった実家だが、
子供の立場からすれば、
そう簡単には処分できない。
そりゃそうだろう。
親が老人ホームに入った途端に実家を売れば、
親が気分を害するからだ。
かといって自分たちは
快適なマンション暮らしなので、
古ぼけた実家には戻れない。
ローンもたっぷり残っている。
ちなみに空き家の管理は年間数十万円かかる。
④地価の下落
バブルの頃は「地価狂乱」と言われ、
土地は持っているだけで
値段が跳ね上がってくれたが、
今では土地神話は崩壊。
都心部でも人気のない場所は安値のまま
取引がないのが現状だ。
⑤登記の放置
売買はともかく、
相続があっても登記しないと、
所有者情報が更新されない。
これでは連絡の取りようがない。
登記費用も数十万円するので
無理はないが。
3.ではどうすれば良いの?
上記①④は対策しようがない。
②は一考の余地があるはずだ。
マンションって、そんなに住みやすいか?
私は不動産管理業をしているので、
マンション内のイザコザを
多数目撃してしまった。
騒音、ゴミ捨て、管理費滞納…
赤の他人が多数、薄い壁を隔てて
住んでいるのだから、
問題が起きないはずがない。
もちろん戸建て所有は、
これはこれでお付き合いが面倒だが。
私は賃貸で本当に良かったと思う。
人口減少に拍車がかかる令和時代に、
高い金を出してマンションを
買う理由が私にはみつからない。
③は親を説得するしかない。
建付けの古い一軒家に年老いた親を
独り住まいさせておくのは危険だ。
老人ホーム入りと同時に
家屋を処分する。
先延ばしにしてはダメ。
そして⑤登記も忘れずに。
4.賃貸という方法は有効か?
売るのが嫌なら貸せばよい…
とはいうけれど、
しかし古ぼけた一軒家に
果たして借り手はつくだろうか。
大都市圏ならば可能性はあるが、
地方都市になると相当に分が悪い。
例えば40年前の物件なんて、
水回りは総取り換えが当然、
もちろんトイレもだ。
二階の部屋はまだ押し入れだとすると
クローゼットにする必要があるし、
若者は畳をいやがるので
フローリングに変更。
なんてことになるとリフォーム費用が
嵩張ること間違いなし。
そんな金を出せますか?
…ということで、やっぱり
売却がいちばんだろう。
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